なるべくお金をかけずに海外の美大へ留学する方法_2
- bohemianeugene
- 2021年12月12日
- 読了時間: 4分
更新日:8月23日
グラスゴー美術大学から交換留学受け入れ不可の連絡を受けて、どうにか受け入れてもらえるまで、1ヶ月半にも及ぶ交渉が始まりました。
受け入れ不可の理由としては、工芸科染織専攻の私は、留学を希望したコミュニケーションデザイン科に適していないから、ということでした。
例えば医学部の学生が文学部に留学したり、法学部からスペイン語学科に留学するというなら、受付不可になっても納得できますが、私の場合はそこまでの差があるとは到底思えませんでした。
東京芸大では工芸科の染織専攻で学んでいたので、デザイン科へ交換留学をすることは違和感があるかもしれませんが、そもそも、海外の美大に染織専攻にピッタリ該当する科はありません。
グラスゴー美術大学には、テキスタイルデザイン科という、ファッションやインテリアとしての染織を学ぶ学科はあります。かといって、私はファッションやインテリアを学びたい訳ではなかったので、コミュニケーションデザイン科へ留学できないことに納得できませんでした。
コミュニケーションデザイン科では、表現的な作品も、商業的な作品もOK。写真家を目指す人、イラストレーターを目指す人、ゲームを作る人やエディトリアルデザインと呼ばれる書籍のデザインを志す人など、様々な学生がいます。
まだまだ勉強中だった英語をなんとか捻り出しながらメールで交渉を重ねる日々。留学先の担当者からはまともに相手にしてもらえず、もどかしさが募りました。
そもそも学校同士で合意している交換留学の制度じゃないのか??と憤りつつ。
どうしても腑に落ちない、という気持ちで、一度は勇気を振り絞って電話をかけてみたこともありました(担当職員さんが早退していて話せませんでしたが)。
しかも当時、東京芸大で交換留学窓口をしていた担当職員さんは最初から弱腰。「長友さん、あまり拗(こじ)らせないでください」と困った調子で言われてしまい、途方に暮れました。
そんな中、拗らせた甲斐が少しはあったのか(?)、先端芸術表現科の教授・たほりつこ先生が救いの手を差し伸べてくれました。語学を力に、別な学科の生徒にも関わらず交渉を行ってくれた、たほ先生。かっこよくて憧れの人です。
たほ先生の「できるだけ丁寧な英語を学びなさい」というアドバイス、今も覚えています。(覚えてはいますが、実践はできているかどうか・・・)
交換留学が始まるまでは、前から通っていた舞台美術デザインのバイトと、某百貨店の地下でお煎餅やブッセを売るバイトを掛け持ちしていました。
いざ、グラスゴー美術大学での授業が始まってみると、「選んだ言葉をポスターで表現しなさい」とか、「三段回で変化するテーマを決め、その変化を視覚的に表現しなさい」など「伝えたいことをどのように相手に表現するか」を訓練することに。
留学先では、染色に限らず、技法にこだわらずに作品を作りたかった私にはぴったりの授業でした。(個人的には、伝統的な技法を学ぶなら日本の方が適していると思います)周りの学生が用いる手法は、イラスト、CG、ゲーム、写真など様々です。わたしもシルクスクリーンで版画をしたり、材料を組み合わせて写真をコラージュしたり、毎日アドレナリンの洪水の中で過ごしていました。
とはいえ、たった3ヶ月の交換留学では語学習得も十分とはいえませんでした。
ですが幸いなことに、私には言葉だけではなく、言葉と作品、二つの道具があることに気がつきました。
異なる言語を使う人を相手に、言葉だけでは伝えられないことを、作品を通して伝えられるという感覚。それが一番記憶に残っています。
違う文化や言葉を使っていても、絵や彫刻やスクリーンを観て感じることがある。それがどれくらいの手間をかけて作られたものなのか、何を表しているのか、感じられる。それは、当たり前のようで奇跡のようなことだと思います。
↓留学先の最後の課題で作った版画のうちの1枚

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