安藤さんとわたし
2024年、10/5(土)〜10/14(月・祝)東京・等々力の画廊・space Sで個展を行います。
今の所、金曜日、土曜日、日曜日、祝日にオープン予定。
ロンドンのVictoria&Albertミュージアムに所蔵されている「東京ひいながた」シリーズの、新しい作品10点も展示いたします。
「東京ひいながた」は山手線の駅風景を江戸時代の見本帳である雛形本の模様に見立てたシリーズ。
今回は渋谷から原宿、池袋、新宿などを作成しました。
画廊・space Sのオーナー安藤壽美子さんとは、わたしが大学生の頃のアルバイト先で偶然お会いしました。
当時、わたしは都内のレンタル工房兼ワークショップ施設でアルバイトをしており、一時期、ラフォーレ原宿の期間限定のポップアップショップに出勤していました。
私は、レーザーカッターでアクリル板を加工して、アクセサリーを作るワークショップの講師としてお店に座っていました。
そこにたまたま安藤さんが通りかかり、ワークショップを体験してもらいました。
話しは弾み、安藤さんが自宅ガレージを改装して画廊をしていたことや、福島の西会津町国際芸術村に携わっていることを知りました。
それから10年ほどたちました。
いま、安藤さんのいろいろなお仕事をお手伝いしながら、文字通り羽根をのばして制作することが出来ています。
10年の間、ときどきfacebookで近況を知る間柄が続きましたが、一昨年の私の個展に安藤さんが来てくださいました。
そのとき、いろいろとお話しをする中で、「物を作るのが得意ならうちの会社で働いてみない?」と声をかけてくださったのでした。
ちょうど安藤さんが亡きご主人のウィンドウディスプレイ制作会社の社長を引き継いでいらした時期でした。
その言葉が頭のどこかにあり、わたしが去年、精神的・体力的にとても不安定になり会社を辞めたとき、藁にもすがる思いで安藤さんを尋ねて行ったのでした。
わたしは、作品だけ作って食べて行けるはずもないのに、会社を辞めてしまって、なんて馬鹿なんだろうと思い詰め、自分を責めていました。
眠れず、胸が常にザワザワとしていて、ましてや新しいものを作り出す気力はありませんでした。そのような状態であるにも関わらず、なにか仕事をしないとこれ以上耐えられないと焦燥感にかられていました。
安藤さんを訪ねて行ったとき、わたしはディスプレイ制作の会社で働かせていただけないかとお願いしました。
しかし安藤さんは、「亡くなった夫は、アーティストと一時的に仕事をすることはあっても、社員として雇うことはなかったの。あなたはアーティストなのだから、社員としてではなくて、わたしの個人的な仕事の手伝いをしてくださらない?」と、会社勤めではなく、画廊準備などの仕事が出来るように計らってくださいました。
お手伝いに通うようになってからひと月ほど経つと、徐々に元気が湧いてきました。
安藤さんが、「いまは制作意欲も無いかもしれないけど、作れる様になったらうちの画廊でも個展をしてね」と言ってくださった頃には、わたしは薬を飲まずに眠れる様になり、スケッチブックをもって取材へ行ったり、図案を描いたりできるようになりました。
これから、安藤さんの画廊で個展ができることをとても幸せに思っています。
安藤さんと私。大川美術館にて。
個展の詳細は後日インスタグラム・フェイスブックでお知らせします。
安藤さんの画廊は、住宅街にある素敵なギャラリーです↓
space S
〒158-0082 東京都世田谷区等々力5-14-18
電話:03-3701-1471
イスラエルによるガザ侵攻、ウクライナで続いている戦争、ほかにも紛争があちこちで起きているなかで、絶望しないで生活を回し続けるのが難しいと感じています。
そんな中で、安藤さんの蔵書を整理しているときに見つけたオノヨーコさんのインタビュー記事の言葉を宝物にしています。(以下、わたしの解釈も入っていますが。)
「平和主義者は理想が高いからこそ互いに意見がぶつかりやすい。賢い戦争産業の人たちは利益が一致しているから、互いに意見をかわす必要もない。だからこそ平和主義者どうしが互いに尊敬の気持ちを持って、力を合わせて闘いましょう。」
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